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自由
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好みの男性が目の前で生きている、それだけで嬉しい。でも、触っちゃいけないのが苦しい。自分は他人の顔が覚えられないから、匂いや雰囲気で他人を判別してる。 「あの人」の赤外線が自分の赤外線に触れている、その感覚が本当に心地よい。上半身が上下してる、息づかいが聞こえる、指先が動いている、そして何より、気持ちの良い距離感にいてくれる「この人」の存在は、閉所恐怖症の自分にとって特別なもの。パーソナルスペースの一致こそ、「個人」に興味のない自分が初めて相手を「〇〇さん」として意識できる条件。「人間」という生き物は面白いし好きだけど、「個人」への関心が薄いから、こんなに他人を意識してしまうなんて本当に特別なんだよな 大事な「その人」のスマホの画面を間違って覗き見してしまわないように、ちゃんと小説に意識を向けられた自分を褒めたい。内容がほとんど頭に入ってこないかと思いきや、相手の赤外線だけで身体がリラックスして、ページを捲る手がかなり進んだ。いつも「誰かが突然暴れ出したらどうしよう」と考えて周囲を気にし過ぎてしまい、読書なんてままならないのに、幸福感に包まれるだけで身体の力が抜けて本の世界に入りこめた。 相手は妻子ある仕事人だから、こっちが特別な感情を向けていることを悟られてはいけない。どんなに愛おしい目鼻立ちでも寝顔でも見惚れてしまってはおしまいだから、相手や周囲の人を傷つけてはいけないから、本を読み終わっても遠くの空中をぼーっと見ることに決めた。そうしないと視線が釘付けになってしまいそうだった。 同時に悔しくもなる。自分は別にこの人を自分のものにしたいわけではないし、誰かを傷つけようとも思っていないのに、どうしてこの人の心臓の音を聴いたり、笑顔の写真を部屋に飾ったりしちゃいけないのだろう いつか何かが突然変化するか何かして、この人の手の感触を味わったり、耳たぶをつまんだり頬を撫でたりできますように。でもその変化は、誰かに不幸が訪れるようなものではなく、とてもささやかな違いをもたらすものでありますように ただひたすらに、雰囲気や立ち振る舞いや声や笑顔や匂いや赤外線が好きな1人の人間の頭を撫でてみたいだけなんだよな あの人の体温が欲しくて仕方ない。心音の録音、血流の映像、なんでも良いから下さい。できれば検体の採取は私の手でさせてほしい。手が震えて失敗したら困るけど、絶対に傷つけない。 今日も電話でお話しして、何回ニヤニヤしただろう、何回笑ってしまっただろう、ただの業務連絡なのにワクワクして、ホカホカして、本当に可愛くて抱きしめたかった。明日以降もまだ業務連絡が残ってる、それが本当に嬉しくて楽しみで、今夜は眠れるだろうか。 昨日から主治医の判断で薬をやめてるからそのせいかな、ずっと楽しい、お腹が空いてるのに夕飯の準備ができない、ずっとあの人のことを考えて食事よりも多い量のドーパミンを摂取してる気がする。 この文章を綴り始めて30分以上が過ぎた。さすがにやめよう。とにかく、来週は久々に友人と出かけるのでそっちのほうに意識を向けるべき。メールの返事も返せてないし。ご飯も食べなきゃ、明日は映画も観るから早く寝なきゃ、駄文を打ち込んでいる時間があったらドラマの録画の消化ができたはずだ、 ああ、また時間を無駄にしてしまった。でもあの人の赤外線は今日も最高だった。夕飯を食べよう、いい加減
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