祖父母の介護を実家に一人居残ってやっていた。けど、社会福祉士の力を借りるには家に動ける人がいてはダメなんだと親に言われ、挙句無責任にも女と家を出て置いた親を放置している本人に祖父母に何かあったら責任が取れるのかとまで言われ開いた口が塞がらなかった。勢い任せに、それならもう帰らないから都合よく頼らないでくれと残し、アパートを借りて勢いで出て行った。
何故そんな風に言われなきゃならないのか。
2ヶ月帰らなかった。祖母に、また会いに来てねと言われたものの、自分はもう祖父母が亡くなるまで帰ることはないかもしれないとこころの中で思っていた。
そしてコロナ禍に祖母が倒れ、2年後に入院している病院で亡くなった。
弟だったか、妹だったかに俺が家を出るとき祖母が涙ぐんでいたと言うのを聞いて、心が痛い。一人残った祖父には施設に入所するまで1年間、毎日食事と身の回りの世話をしに帰った。
祖母の声や祖母の涙を思うと、何故祖母が居てくれている時からそうしなかったのかと後悔が押し寄せる。俺は祖母が家族の中で1番好きだったのに。