一青窈さんのハナミズキを聴くと、今でも弟を思い出す。
うちは裕福ではなくて、私が大学に進学するのも父にかなり金を渋られた。
それを、2つ下の弟が、心理カウンセラーになりたいと言っていた弟が、泣きながら両親に頭を下げてくれていたらしい。
私は私で、仕送りは一切貰わず奨学金だけで生活することを条件に、弟も大学にやると父と約束していた。
結局、弟は大学に行けなかった。
私も、奨学金が貰えなくなり中退した。
『一緒に渡るにはきっと船が沈んじゃう』『どうぞ行きなさいお先に行きなさい』『僕の我慢がいつか実を結び果てない波がちゃんと終わりますように』
未だに、歌おうとすると涙が滲む。
未来永劫、私は弟の優しさと、弟の将来を潰してしまった罪を抱えて生きていくのだ。