理屈っぽい人のための、他人の価値観を否定してはいけない証明。
この世をすべて見通せる人は誰もいない。この広大すぎる世をなんの策もなしに歩くと確実に迷う。
そこで私たちは自分の経験やだれかの情報から世界を様々な視点で観測し自分で"地図帳"を作っている。
私たちは身体で認識したものごとをこの"地図帳"上にマッピングしてから判断・行動している。
この世をすべて見たわけでないので、"地図帳"にすべての地域の情報は入っていない。
本物の地図にメルカトル図法や正距方位図法などがあるように、"地図帳"の図法は人それぞれ。詳しさも、いつ更新したかも、ページ割も、全部人それぞれ。
そもそもこの"地図帳"は心の空間に存在するため、人に見せることはできない。見せ合うことができないので、必然的に地図帳は人によって全く異なるフォーマットになる。自分の地図で直線だったものは、ある人の地図では曲がっている。ある人ではページが分かれている。ある人ではそもそも載っていない。
自分の地図をどれだけ正確にしても、相手の地図と同じ見え方にはならない。だから自分の地図の正しさだけを理由に相手の地図を否定すると、相手からは非常に不可解に感じる。自分が苦労して作り上げてきた地図を否定されたくなければ、相手の地図も同じように扱わなければならない。
"地図帳"とは価値観のことである。
自分が苦労して作り上げてきた価値観を否定されたくなければ、相手の価値観も同じように扱わなければならない。