生きているから辛い
生きているから分からない
生きているから悩む
不自由さが恋しくて、下らない日常を手にしたくて
でも、当時はとにかく悲観的だった。
今私の手の中にある鍵は一つ。楽器の形の飾りを携え、英字のステッカーが貼られ
社会人バッグの中に仕舞われている。
本来その鍵は扉を開くための物だった。
大好きな祖父のキーホルダーが外れてしまって
代わりに見栄えを良くしようとするあまり、まるで統一感の無い有様になってしまった。
鍵を誤って捨ててしまわないように、大事にしているけどかなぐり捨てたくなる衝動にも駆られる。
私はこの鈍く光る鍵で、何処へ行けるのだろう。
もし、何処にも符号しなかったら
鍵を温めていた理由はなくなるんだろうか
私の思いが無になる瞬間が、後悔が訪れる時が怖い。
ああ、また橋を渡れなかったと、諦めて道草を噛んでいるだけの人生は嫌なのに