本当の母との出逢い
毒親の母親からの肉体的、精神的な虐待により僕のメンタルは壊れてしまった。
暫くは投薬治療をしながら仕事をしていたが、疲労感はハンパでは無かったし、免疫力の低下により、発熱などで寝込む事が増えた。
そんな病床の僕を看病してくれたのは飼っていた猫だった。
寝ている僕の枕元に座り、僕が寝返りするとフトンがちゃんとかかっているか、僕の周りをクンクンしながら確認し、問題が無いと元の位置に戻る。
起きて水分を摂れば、飲み終えて床に置いたペットボトルの匂いを嗅ぎ、飲んだ量を確認。納得すると元の位置に戻る。
食欲が無い為、ゼリー飲料を摂りそのまま寝ようとすると、「にゃー」と鳴きながら薬袋を手でトントンする。
トイレに行くと、ベッドで僕の帰りを待ち、戻るのが遅いと大声で鳴く。
ヨロヨロ戻ると「にゃー」と鳴きながらベッドを手で叩く。
僕が通常の生活に戻れるまで回復すると、死んだように眠る。
付きっきりで看病してくれていたようだ。
まるで、愛する子供を見守るように。
ある晩、その子が寝ている僕のお尻をなめていた。もちろんスウェットの上からだが、母猫が自分の子供にする動作だ。
僕は与えられなかった母からの愛情を、猫からもらっていた。
本当なら、子供はこんなに深くて温かい愛情を無条件で受けるものなのか。
愛情に関して無知だった僕は、初めての経験に戸惑ったが、自然と笑顔が生まれた。
産んだイキモノからの虐待。
本当の母からの惜しみ無い愛情。
***みたいな人生だったけど、
僕は恵まれている方なのかも知れない。