期待しすぎた。 先日迎えた誕生日。初めてできた彼氏が、当日夜から次の日にかけて祝ってくれた。 誕生日前の1ヶ月、私は正***ンタルが荒れていた。彼に対して不安がつのっていた。言葉や行動が冷めている気がして。1度電話越しに耐えきれず泣いてしまった。かといって大きく変わることもなかった。彼はこれが楽な付き合い方なんだと思った。 奢られるのは嫌だから特別な日だけかっこつけてと話していたこともあり、彼の好きを誕生日であれば感じられると思っていた。私は周りの友達の話もあり、夜はディナー、ホテルは高くなくとも素敵な場所、プレゼントはちょっとしたブランドのアクセサリーやコスメ、次の日のデートプランは決まっていて連れて行ってくれる。そんな想像を膨らましていた。 実際には違かった。駅で待ち合わせ、先にホテルに向かった。見えてきたアパホテルは以前も急遽泊まったことのあるもので、「まさかね…」と思った矢先、「久しぶりだね」と一言。一番無いと思っていた選択に驚きを隠すだけで精一杯であった。彼は夜景が見える部屋を選んでとってくれたようで、その気持ちは嬉しかった。ただ、やっぱりがっかりが勝ってしまっていた。 そして、相手と自分のために生理であることを伝えたことが悪かったのか。ディナーの予約はされていなかった。テイクアウトでもいいようにと彼は言っていたが、正直誕生日にテイクアウトは虚しい。流石に嫌だった。そこまで体調が悪くならずに済んでいたこともあり、クリスマスマーケットを提案したが、そんな相談をしているうちに時間が過ぎ、混雑でとてもじゃないが入る気にはなれなかった。私が調べ直し、見つけたお店は満席。とうとう具合も悪くなってきて近くの洋食屋さんに駆け込み、食事を済ませた。美味しかったが残念だった。高い店に連れて行ってほしいとは思っていなかったが、予約してゆっくり食事して、バースデープレートが出てきたり、プレゼントを受け取ったり、そんな時間を想像していた。ただ歩き疲れてしまって、やっとたどり着いた食事をそんなにウキウキと楽しめる気持ちにはなれなかった。 誕生日ケーキがホールで用意されてるとは思わない。しかし彼は最終的にコンビニスイーツを提案した。なんだか呆れてしまうが、彼に悪気があるわけではない、期待しすぎたせいで勝手にがっかりしてしまっているだけ、気持ちだけでも感謝しないと、とその提案をのみコンビニに寄り、ホテルに戻った。 ホテルに着くと、彼は疲れた私に「ちょっと遊ぼう」と言った。ゲームでも持ってきたのかと思えば、風船が沢山。流行りの年齢のバルーンで華やかに写真を撮る演出をやるか迷っていた彼に、一緒に膨らまして飾っても楽しいかもねと言った私であったが、流石に疲れているところ今じゃないと思ってしまった。しかし、対照的に楽しげな彼と私が言ったことだという認識でなんとか彼に乗って準備をした。彼は満足気だったが、写真を撮るのが上手くはないし、数字のバルーンも色が揃っておらず、色々不器用さが滲み出ていた。彼らしいと思いつつも、どうしても思っていたのと違うという気持ちが消えず、撮った写真をSNSに乗せることもできなかった。 その後プレゼントでパスケースを貰い、とても素敵なデザインを選んでくれた一方、パスケース類は間に合っていたので使い所に悩んでしまった。 明日はどうするのか聞くと、決まっておらず、水族館に行くか、家に遊びに来るかといったところだった。人混みは苦手、疲れているならなおさら気が進まなかった。家に行くのも関係性的にまだふさわしくない気がして、選びにくいと感じてしまった。 明日の予定はともかく寝ることにした。彼に抱きついて寝たが、色々と振り返る中で、「おめでとう」は言ってくれたが、「好き」の言葉や、あるときからしなくなってしまったキスもなかったことに気づき、悲しくなってしまった。 色々と考えてくれたことは伝わってくるが、恐らくこの誕生日に、不安を解消できるという期待が色々な角度から崩れてしまい、悲しさや虚しさに拍車のかかる誕生日になってしまった。 全く同じ用に誕生日を過ごしていても、それまでの不安がなければ割り切れていたのかもしれない。しかし、それもできず、空元気でなんとか彼が私の反応で傷つかないようにすることが精一杯だった。でもきっと隠しきれていない。今度からは相談してねとだけ伝え、彼も反省のような言葉を発していたが、果たしてこれでよかったのか。